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おみまい

いつも気にかけている人が数人いる。

心が疲れきっていて、長い間、不安定だった女性で、私が子どもの頃からお世話になっている人。

私の人生に大きな影響を与えてくれた恩師は、手術のために長期入院している。

昨年、息子さんを亡くされ涙の日々を過ごされているお母さま。

横浜にいたころ知り合った目の不自由な女性。

気にかけていると言いながら、私にできることは少なく、近い人にはできるだけいっしょにいることを、遠い人にはそのときのその人にふさわしい言葉が書かれた本などを、目についたら送るようにしている。

胃腸炎になって、何もできずにいたとき、最初の女性にずっとプレゼントしたかった本を数冊、自分が読んで線を引いたままのものも含めて、郵送した。失礼と知りながら。相談を受けて1年も過ぎて、今さらと思いながらも、彼女の胸につかえていた膨大な重荷を思うと、じっとはしていられなかった。

恩師からは、胃腸炎中に電話があり、回復してすぐにローズンゲン『日々の聖句』を持って、おみまいに行った。12時間に及ぶ大手術を受けたばかりだというのに、また次の週に別の手術を受けると言うので、手術の日に用意されたみ言葉を朗読した。
ヨブ2章10節とⅠコリ10章13節のふたつのみ言葉は、彼女に勇気を与え、慰められるみ言葉だった。

バタバタと札幌、埼玉への出張の準備をしていると、目の不自由な女性から双子出産のメールと写真が届いた。何てかわいいんだろう!!幼かった彼女の夢は、お母さんになることだった。何て幸せだろう。感謝の祈りを捧げ、短くメールに返信した。「がんばります」と希望に満ちた頼もしいレスがすぐに来た。

札幌から帰宅し、上京する朝、本を送った女性から電話があった。

あまりにも言葉の一つ一つがぴったりで、薄皮を剥がすように癒されていくのがわかるという。
「ごめんね。遅すぎたよね」
「いいやあ。今じゃなかったら読みきらんかったと思うとよ。今やっけん読みよると。ありがとうね」

うれしい。もう1年以上会っていないのに、近くにいると感じる。

埼玉のビジネスホテルで本を読んでいると、息子さんを亡くされた方の共通の知人から電話がかかってきた。彼女が息子さんの書かれたあるものが見たいとおっしゃっているけれど知っているかとの問い合わせだった。それは、たまたま彼女と話したときに話題に出たもので、私が管理する書類の中にあったものだった。帰宅してすぐに準備すると約束して電話を切った。

そのあとすぐに、恩師から電話がかかってきた。
「先生、手術はいかがでした?ずっと祈ってました」
「あなた…きっと気にしてると思って電話したの。日に日に痛みがなくなってきたのよ。あの日、とてもいいみ言葉を読んでくださってありがとうございました。」
「よかったです。帰ったらすぐおみまいに行きます」
「あなたは、今日はなんのお仕事?」

ある機関誌の編集会議に出掛けることを伝えた。先生の言葉が、胸に突き刺さった。

「たくさんの方に、よい言葉を届けられるように、がんばってくださいね。待っていますからね」

よい言葉をたくさんの方にいただいているのは私だ。

でも、先生の言葉は身体中のあちこちに響き渡った。

来週は少しのんびり過ごせる。先生に会いに行こう。

よい言葉は、神さまからのプレゼントだ。
私が受けとるよい言葉を、必要とされている方に届けることができますように。

「神は、おくびょうの霊ではなく、力と愛と思慮分別の霊をわたしたちにくださったのです」
Ⅱテモ1章7節

今日の聖句はまさに今の私にぴったりの贈り物だ。神さまからのおみまい。ありがとうございます。
by kakunobue | 2016-02-20 18:40 | 日記

かくのぶえ フリーライター 日記・エッセイ・詩・イベント情報・こどもメッセージ集。


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