子離れの道
2016年 05月 12日
帰りの時間を気にする必要もなければ、テレビも見たい時間に見たいだけ見られる。
食事の準備も手抜きでいいし、大量のお菓子や果物も買ってこなくていい。
テレビを見ながらうっかり眠っても、とがめられることはない。
16年前の、仕事に打ち込んでいた、フリーランスのライターとして飛び回っていた頃のように、自由だ。
皆さまに「寂しいでしょう」といわれる度に申し訳なくなる。
ごめんなさい。楽しいです。解放されていますの…おほほ。
さあ、これから何をしようかなあと、ニヤニヤしていると電話のベルが鳴る。
「あ、母さん。小銭ないからかけ直して」
ガチャン。
なんだ。
うれしいじゃないの。
「どした?」
送ってほしい荷物のことをひとしきり言うと、今度、ピアノでこんな曲を弾くことになったとか、海岸清掃に行ったとか、忙しいとか、でも楽しいとか、近況報告が続く。
「体調は?」
「ピンピンしてるよ」
「睡眠とれれば大丈夫だよ」
「うん。これから寝る」
「お祈りしてるからね」
「うん。おやすみ~」
いい。
いないけれど、いるのだから。
そして健やかなのだから。
なによりも、私と同じように楽しそうなのがいい。
子離れの道は、お互いが満たされないままだと困難かもしれないが、それまでに充分にいっしょにいて、気持ちを通わせられたなら、それぞれ気楽に次に行けるのかもしれない。
さてと。
私もジャックに負けないように、成長したいものだ。