野菜というより、いのちのような

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先週、ジャックから荷物が届いた。

電話では「サンタからだと思って」と言っていた。

全寮制の高校に通い、普通校でありながら陶芸やさまざまな作業に参加できる豊かな環境で、ジャックは米を作り野菜を育てている。

田畑での収穫がつまった段ボールは私の心を満たした。



学校にいかなかった時間は、私から何かが剥ぎ取られていくような、無力感を味わった。何もしてあげることができなかった。ただ、待って、待って、待ち続けた。

疲れきった心を時間をかけて、埋めていく作業が必要だっただろう。自分を見つめて、どんな自分であり、どんな道へ向かうべきかを、じっと見つめていただろう。

学校にも何度か車で送っていったが、建物が見えると表情が固くなり、具合が悪くなった。

ひとりの時間が必要だったのだ。



今、自分の居場所を自分で決めて、そこで呼吸できるようになったという。むろん楽しいばかりでもない。でも「自分で決めたから」という。
ようやく思春期の揺れる心を落ち着かせられるようになったのかもしれない。

荷物の中の大根は、太くて瑞々しかった。

泥がついて、形は愛らしかった。
それは、野菜というよりも、いのちのようだった。



学校に行かないと決めた日に、私は彼といっしょに戦う応援団長になったが、先日、もう心配しなくていいというので応援団は解団した。

しかし、母は死ぬまで母だ。


いっぱい渡したいのちが、今、戻ってきているような感覚を覚えている。
無駄になることはないのだろう。きっと。

大根は、おでんにした。昼は大根葉を炒めて食べた。

成長した大根は、太くたくましく瑞々しくて、苦味があった。


これからもずっと、ジャックの母でいられることをうれしく思う。

今週はジャックが帰ってくる。さて、何を作ろうか。

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by kakunobue | 2016-12-19 13:58 | エッセイ | Comments(0)

かくのぶえ フリーライター 日記・エッセイ・詩・イベント情報・こどもメッセージ集。


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